リタイア後の暮らしをワンランクグレードアップ 明るい光と南風が心地いい平屋住宅

「平屋はやっぱり楽ですね。住み心地が最高。このあたりはタヌキやイノシシが出て畑のさつまいもが荒らされることもあるけど、のんびり自由に暮らしています(笑)」

そう笑いながら話してくれたのは、今回お話を聞かせてくださる掛川市の中村さん。
中村さんは退職後、ここ掛川市で奥様と娘さんの三人で、趣味の家庭菜園とガーデニングを楽しみながら暮らしている。

仕事の関係で長く神奈川県の横浜に住んでいたが、今のこの家が一番落ち着き気に入っているとのこと。

どんな思いでこの家を建て、どんな暮らしを送っているのか、お話をお聞きした。

(聞き手:コバヤシ建築 太田慎吾)


今回お話をお聞かせくださった施主の中村さん。笑顔が素敵

退職するまでは東京・横浜・静岡・三重を忙しく行き来する生活…
今まで頑張ってきたご褒美に、自分たちが過ごしやすい空間を

中村さんご夫婦はこのあたりのお生まれと伺いましたが、関東の方でずっとマンションにお住まいだったとか。

太田
「中村さんのうちは工事が完成して住まい始めてからしばらく経ちますが、建設当時、遠い職場でまだ現役でお仕事をされていて随分忙しい生活を送られてたと記憶してます。日本のあちこちをぐるぐる移動していましたね。大変だったでしょう?」

中村さん
「そうだね、土日は掛川にいて、月曜日の朝一番で職場とマンションのある東京と横浜へ。水曜日に掛川へ帰ってきて、木曜日の朝一番で今度は三重に行って…金曜日にまたここへ帰ってくるという生活でしたね(笑)。」

中村さん(奥様)
「そういう生活をえ~っと確か七年続けたんじゃない?。ここからは(JR)掛川駅まで20分くらいかかるけど、わたしも結構送り迎えをしたな。」

太田
「退職されて、ようやくのんびりできるようになった、という感じでしたか?」

中村さん
「そうですね。自由な時間が増えたから、今かみさんは小学校の図書室ボランティアをしています。あと僕はテニスを週2回、市営の体育館でやっています。それ以外は家でのんびりかな(笑)やっぱり生まれ育った場所が一番落ち着きますね。このあいだも、横浜に住んでいる娘のところに行きましたが、どうも落ち着かなくて…そこは元は自分が住んでいた家なんですが(笑)今はこの家が一番です。」

明るく、広々とした居心地のいいリビングは、自然と皆が集まる場所に…

太田
「南側の敷地が非常に広いから、窓から陽がたくさん差し込んで、冬でも暖かいですね。」

中村さん
「そうですね、太陽の光がほどよく差し込んできて本当に気持ちがいい。夏場の日差しをもう少し遮ぎるように軒を深目にしても良かったかな。でも、この土地は風が通るので、お風呂場を開けておけば台所にも風が”すっ~”と通ります。夏は窓を開けておけば全体に風が行き渡るから、エアコンに頼りすぎることもなくてとても過ごしやすいです。」

高い天井と太陽の光が差し込む大きな窓が印象的なリビングダイニング


窓際でネコちゃんも日向ぼっこ中

中村さん(奥様)
「自分たちが一番いるところ、一番長い時間過ごす場所を良くするのがいいですよって、間取り上のアドバイスをいただきました。客間を張り切ってよくしても、お客さんはめったいに来ないんだからって。(笑)」

太田
「そこは住宅プランナーとしても特に大切にしているポイントです(汗)。間取りの連続性は大事だと師匠からもよく言われました。」

中村さん
「このリビング、お正月には大勢が集まりますよ。お正月以外にも、娘の婿さんがサーフィンが趣味なので、会社の友だちを連れて来て、みんなで雑魚寝していたこともありました(笑)居心地がいいみたいです。」

太田
「今猫ちゃんが窓から外へ出ていきましたが、お庭も広くていいですね。」

中村さん
「ええ。孫たちが遊びに来ると庭でバーベキューもします。楽しみのひとつです。芝生の管理がちょっと面倒ですけどね(笑)年に4~5回は芝刈り機で手入れをしています。植木は10年経ってようやく形になってきました。まき囲いは最初は小さくてスカスカで向こうの景色が見えていましたが、今は目隠しになるくらいまで成長しました。」


広々としたお庭。お孫さんたちもおじいちゃんおばあちゃんのうちで思いっきり遊べるのを楽しみにして来ていることだろう。(画像は新築当時:スカスカの生け垣を木フェンスで補っていた。)

なぜ北側に玄関を設置した…?

太田
「先程から話題にも出てますように、僕は北側玄関の間取りを敢えておすすめしました。中村さんのお宅は敷地の南側と北側が両方とも道路なんでどちらでも可能なんですが、公共性の高い玄関は北側へ配置して、南側は居室プライベートゾーンで連続したかったんです。伝統的な農家づくりの間取りが多い地域では抵抗があると思うんですけど、中村さんは僕の叔母に当たるし、僕からの提案に共感してもらえる確信がありました。北側道路と敷地の高低差も玄関へのアプローチのアクセントにもなると思いました。」

中村さん
「新築当時は、ご近所さんからも北側玄関は珍しいと言われました。玄関が分からない人もいて。その都度、大きな声で呼ばれたりして(笑)」

(一同笑い)


珍しいと近所の評判になった中村邸の北側道路からの玄関アプローチ。(画像は新築当時)

中村さん(奥様)
「今思えば、玄関を北側に持ってきたのは正解でした。南側は車の通りが激しいので、直接通りに出るのは大変。北側に玄関と駐車場を作ってもらって、本当に良かったです。」

太田
「駐車スペースもうまいこと広くとれました。」

中村さん
「はい、4台置けるので、たいていの場合ことは足りますね。」


建物の北側からは採光を得にくいので下駄箱の上へ天窓を設置した。スポットライトのような効果も生まれた。(画像は新築当時)

部屋や家族間のつながりを大切にする、こだわりの間取り
“ちょっとした工夫”で、よくあるお悩みも一発解決

太田
「向きと言えば、玄関の位置よりキッチンの配置具合のほうが設計的に斬新だと思っています。お勝手仕事をやりながら食堂越しに南向きの大きな掃き出し窓から庭へ視線が抜けます。南側でしたが思い切って勝手口と外部ユーティリティスペースも設けました。軒下で夏の直射日光も雨も当たらないし、生ゴミとかいろいろ置けるんです。外からの視線も遮られるようアイストップの木製フェンスも施しました。」

中村さん(奥様)
「台所と居間のつながりを密にしたいとお願いして、提案していただきました。ゆったり感がいいですね。なるべく娘といっしょに台所に入ろうと思いまして。(笑)」

太田
「いやぁ、実はご希望伺ってから暫くの間いろいろ悩みましたね。こういう配置でキッチンつくるパターンはなかなかないんですが、うちの設計の杉山がそんな僕を見かねてアイデアをぽんと投げてくれたんです。まさに目からうろこでした。台所から食堂、リビングへ、部屋の対角線方向に目線がす~っと届く感じ、そしてお料理しながら南側の庭が見渡せるというのはすごいと思いましたよ。あと、先ほどのリビングの話と重なりますが、せっかく南側がひらけているので、明るく、風が通り抜ける場所にしたいといろいろ考えたんです。」


食堂からリビング、和室へと続く。画面ではすぐ右側が対面型キッチンとなる。リビングには堀座卓が欲しいという施主からの強い要望があった。(画像は新築当時)

中村さん(奥様)
「人の流れがスムーズなのがいいですね。勝手口を作ったのも良かったです。土のついた野菜をいただくことが多いので、外できれいにして、勝手口から上がれば、土を持ち込まなくて済みます。」

中村さん
「近所の方から大根とか里芋とかいただくことが多いんです。外へストックするところがあるのもいい。」

中村さん(奥様)
「あと、炊飯器を置く背面カウンタースペースを作っていただいたんですが、上の収納棚よりカウンターの奥行きを余分に深くしてもらったんです。同じ出幅長さだとごはんを炊くとき、蒸気が上がって棚の下端に当たって出来た水滴が炊飯器の上へ落ちてしまうと思って。」

太田
「そのあたりの家具的な要望を形にするのは僕らは得意なんですよ。」

中村さん(奥様)
「いろいろと細かな希望にも対応していただきました。」


中村邸はほとんどの部屋がこの廊下でゆるくつながっている。

太田
「この廊下も設計的に迷ったんです。とにかく家の中に暗いところを作りたくなかった。だから天窓を付けました。冬場、居室から廊下へ出ると建物の中なのに寒いというのも嫌だったので、思い切ってらんまを開口して、出来るだけヒートショックが起こらないよう家の中が均一な温熱環境になるよう配慮しました。柱のところどころにビニールが貼られているのは猫が爪を研ぐから。まぁ、これはご愛嬌ですよ。」


廊下に面するトイレや脱衣室へのオリジナル建具には「しゅ色」と「よもぎ色」のツートーンをチョイス。和のテイストを強調。この家のアクセントになっている。

「副区長や区長など地区のお役も終わり解放された。これからは少しアルバイトでもしようかな(笑)」と無邪気に笑う中村さん。
これからも奥様・娘さんと居心地の良い我が家で、ゆったりとした生活を楽しんでください。

関連記事

PAGE TOP